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【リテンション・マーケティングの成功事例】驚異のリピート率を誇るホテルの「おもてなし」術

CATEGORY : ブランディング成功事例

UPDATE : 2019.07.10

文責 : 一筆太郎

この記事のポイント

星野リゾートは利用客の5人に1人がリピーターに

従業員主体の「地域密着型企画」が独自性のある強みに

温かい「おもてなし」を支える緻密なデータマーケティング

リテンション・マーケティングとは、既存顧客を維持するために行われる様々なマーケティング活動のこと。大きく分けて、以下の3つの目的のために実施される。

1. 現在の顧客に引き続き商品・サービスを使い続けてもらうため
2. 今以上に商品・サービスを利用してもらうため
3. より高額な商品・サービスを利用してもらうため

一般的に新規顧客の獲得には、既存顧客の維持よりも5倍のコストがかかると言われている。そのため、いかに既存顧客にリピーターとなってもらい、ブランドスイッチされない強固な関係を築いていくかが重要な戦略となる。

リテンション・マーケティングのお手本とされるのが、創業100年を超える「星野リゾート」だ。全国のホテル・旅館の客室稼働率が40%前後と低迷する中、同社は驚異の70%以上を誇る、業界のカリスマ的存在である。その好調ぶりを支えているのが、言うまでもなくリピート顧客の存在。全国各地の旅館・リゾートのリピート率は20%以上で、5人に1人が星野リゾートをリピートしていることになる。

星野リゾートの最大の特徴は、地域ごとにコンセプトやサービスが異なる点にある。北海道なら北海道、青森なら青森の魅力を発掘してコンセプトやサービスに反映することで、他の宿泊施設にはない魅力を生み出しファンを増やしているのだ。同じ施設を何度も利用する人もいれば、「星野リゾートがあるから、あのエリアに旅行しよう」という星野グループ内でのリピートも活発だという。

こうした独自性のあるコンセプトは、現場の従業員たちによる主体的なアイデア発案から誕生する。従業員たちが納得したコンセプトしか実現しないため、そのぶん彼らのコンセプトに対する愛着も強い。これにより、従業員のモチベーションが高まり、サービスの質もどんどん向上した結果、顧客満足度も向上してリピーターの増加につながっているのだ。

同社は古くから顧客へのアンケート調査をサービス改善につなげる文化があったが、近年は顧客情報のデータ化を一気に推進。顧客ごとの要望や嗜好までもデータに記録することで、一人ひとりに最適な「おもてなし」を提供できる環境を作っている。これもまた、リピート時のサービスの質を高めることに貢献しているのだ。

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