フリーミアムとは、「フリー」と「プレミアム」を組み合わせた造語。
基本的な商品やサービスは無料で提供し、高度な機能や特別な機能を有料で提供するビジネスモデルのことを指す。
無料サービスのユーザー数が増えれば増えるほど、有料サービスに移る絶対数も増えるという戦略で、特にWebサービスやソフトウェア、ゲームや音楽、動画といったデジタルコンテンツで採用されるケースが多い。
紹介キャンペーンでコストをかけずに登録数を拡大
「Dropbox」は、アメリカのDropbox,Incが提供しているオンラインストレージサービスである。
登録すれば、無料で基本的な機能を全て使用が可能。あらゆるデバイスからクラウド上に保存したデータを使用できるWEBサービスだ。
同サービスでは、無料で使用できる容量は基本的に2GBまでで、それ以上は月額1,200円で1TBまで使用することができる。
有料版では、あくまでも無料版と同じ質のサービスでありながら、課金することで使用可能容量を増やすことができるというフリーミアムモデルである。
使用頻度が高くなれば自ずと使用容量も多くなるため、一部のユーザーは自然に有料版へと移行するようになる。
つまり、このビジネスでは無料版のユーザーをどれだけ獲得できるかが成功のポイントになると言えよう。
2008年にリリースされた当初から、Dropboxはリスニング広告を活用してユーザーの獲得を行っていた。
ところが、高いコストをかけて無料版のユーザーを獲得しても、有料版のユーザーへの移行までには至らないケースも多く、有料サービスに移行するユーザーの比率に対して、広告費過多の状態が続いていた。
そこで、Dropboxはリスニング広告での新規ユーザー獲得に見切りをつけ、既存ユーザーからの紹介で新規ユーザーを獲得するプロモーション「友人を紹介してくれたらストレージ増設しますよキャンペーン」を展開した。
この施策により、Dropboxのユーザー数は爆発的に増加し、2016年には5億人を突破。
新規ユーザーの44%が既存ユーザーからの紹介であり、「紹介キャンペーン」の効果は絶大だった。
しかも、爆発的に増えた新規ユーザーの中から有料プランにアップグレードするユーザーが多く出始めたため、結果的にDropboxはコストをかけないマーケティングで多くの有料ユーザーを獲得することに成功したのだ。
フリーミアムにおいては、いかにコストを抑えてフリープランの登録者数を増やせるかが鍵になる。
Dropboxの成功以降、多くのオンラインストレージサービスにおいて「紹介キャンペーン」が採用されるようになった。