子どものおやつを、都会的な大人のデザートに変えた
「ハーゲンダッツ」は、1961年にアメリカで生まれ、今や世界50カ国以上の国々で愛されるプレミアムアイスクリームの先駆け的存在である。
創始者のルーベン・マタスの「完璧を目指す」という熱意と信念はハーゲンダッツブランドの原動力となり、現在も受け継がれている。
日本では、1984年に青山でハーゲンダッツの直営1号店がオープンした。
当時は、アイスクリームは子どものおやつというイメージ。甘いものを好む大人を対象にするアイスクリームはなかった。
そこで、ハーゲンダッツはアイスクリームに「都会的な大人のデザート」という価値を付加し、「30歳前後の優雅で洗練された女性」をハーゲンダッツが対象とする女性に掲げた。
もちろん、実際の顧客にはもっと幅広い層が存在するが、あえてそのターゲット設定を貫いてきたのだ。
バニラファーストを軸に、ファンを飽きさせない新商品や企画を継続
ハーゲンダッツは、バニラ、グリーンティ、ストロベリー、マカダミアナッツ、クッキー&クリーム、クリスプチップチョコレートの6種類のカップ入りアイスクリームを基本的なラインナップとしている。
中でも「バニラファースト」とハーゲンダッツが言うように、バニラはブランドを象徴する重要な商品だ。
しかし、これだけでは今日の多様なスイーツ需要には対応できない。
これらを品質の良さを象徴とする基幹商品として位置づけながら、ハーゲンダッツは新たなカテゴリーの開拓にも挑戦している。
「クリスピーサンド」「パルフェ」など、常に話題性のある商品を発売し、「新しさ」でアイスクリームファンを魅了してきた。
定番もただ定番として鎮座するだけでなく、そのブランド力を生かしてコンビニエンスストアとの商品の共同開発を行ったり、期間限定でレストランやホテルとのコラボレーション企画を行うことで、人々を飽きさせない取り組みを成功させている。
日本のプレミアムアイスクリーム市場の激戦が白熱する中、次々とヒット商品を打ち出しながらブランド力を強化し続けているハーゲンダッツ。
あくまでも原料にこだわり、徹底的な品質管理によりおいしさを保つことを基本姿勢としながら、ファンを飽きさせないブランド拡張によって、その地位を不動のものにしつつあるようだ。