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小さな喫茶店が県内一有名なレストランになる方法【ランチェスター戦略の成功事例】

CATEGORY : ブランディング成功事例

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UPDATE : 2018.11.09

文責 : 松山響

この記事のポイント

静岡で「げんこつハンバーグ」という唯一無二の市場を創出

「地元でしか食べれないあの味」にファンが熱狂

軍隊の戦闘力を武器の性能(武器効率)と兵力数で数式化する「ランチェスターの法則」。

もともとは戦時中に軍事目的で研究・活用され、現在は「ランチェスター戦略」と呼ばれ、マーケティング戦略の理論として活用されている。
 

ランチェスターの法則の大きな価値は、強者の戦い方と弱者の戦い方を導き出したこと、とりわけ弱者(中小企業)が強者(大企業)と戦うときの戦略を示したことだ。

大企業が目もくれないようなニッチ市場を開拓する地域やターゲットを極限まで絞り込む特定の分野に全リソースを注ぎ込む

といった戦略を取ることで、量的経営資源で大企業に劣る場合でも、成功を勝ち得ることができる可能性があるのだ。

ランチェスター戦略で勝ち続けている静岡県の外食チェーンを紹介しよう。
 

「げんこつハンバーグ」という
唯一無二の市場を創出

静岡県西部を中心に静岡県内で約30店舗を展開するハンバーグレストラン「炭火焼きレストランさわやか」は、全国的な知名度を誇る地域特化型の外食チェーンだ。

看板メニュー「げんこつハンバーグ」は、丸い俵型で中まで火が通っていない状態で提供され、店員が目の前で半分にカットし、熱々の鉄板に押しつけて焼き上げてくれる。


 

「さわやか」の強みは、料理のおいしさや見た目の楽しさはもちろんのこと、そのシンプルなメニューにある。

同店のメニューはレストランなのに品数が極端に少なく、利用客のほとんどが「げんこつハンバーグ」を注文する。

もともと創業時は喫茶店だった「さわやか」だが、オリジナルメニューの「げんこつハンバーグ」が好評だったため、レストランに業務形態を変更した。

ハンバーグ専門店にフォーカスしたこと、いや、もっと言えば、「げんこつハンバーグ専門店」という独自市場を作ったことで、さわやかは唯一無二の存在となったのである。
 

「地元でしか食べれないあの味」に
ファンが熱狂

もう一つ、地域の絞り込みも重要な戦略である。

さわやかの出店地域は静岡県内のみ。理由は、静岡県内の工場で加工した肉をその日のうちに全店舗に届けることで新鮮な肉のおいしさを味わってもらうため。

だが、それが結果的にここでしか食べられないという“限定感”を演出した。
 

さわやかは静岡県出身の芸能人による熱烈なイチオシ、さらに静岡出身のさわやかファンによるSNSでの口コミによって、一気に知名度が全国へと広がっていった。
 

今や、静岡のソウルフードとして定着し、地元県民だけでなく遠方からわざわざ足を運ぶ客も多い。

商品や地域を絞り込み、そこに全力を注いだことで熱烈なファンを獲得し、地方外食チェーンながら大きな成功を収めた。

さわやかは、まさにランチェスター戦略のお手本のような存在である。

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