「ロングテールの法則」とは、特定のビジネスで2割のヒット商品の売上額よりも8割のニッチ商品の売上額のほうが上回るという法則のこと。
あまり売れないニッチ商品でもその数を増やすことでヒット商品の売上高を超える可能性がある。
Amazon:膨大な数のニッチ商品で
成功したロングテールのお手本
ロングテールの法則を語る際に頻繁に取り上げられる事例がAmazonだろう。
Amazonの最大の特徴は豊富な品揃え。その数、日本だけでもなんと1億点以上。販売アイテムの数で他のネットショップを凌駕している。
これだけ豊富な品数を揃えているだけあって、当然ヒット商品よりもあまり売れていない商品のほうが多くなる。1年に数回しか売れないニッチ商品が大半をしめるのだ。
しかし、Amazonに多くの利益をもたらしているのは、ニッチ商品の数々だという。
実際に、「米アマゾンの売上の半分以上が、販売部数ランキングの40,000位から2,300,000位で支えられている」
という驚くべき事実が経営者の口から発表されている。
ひとつの商品の売上は微々たるものであっても、それらを積み重ねることで巨額の利益を生み出し、Amazonは世界ナンバーワンの地位を手に入れたのだ。
さらに、Amazonはニッチな商品のページを大量生産したことで、強力なSEOを創出し、あらゆる商品名や固有名詞の検索結果で上位にランクインされるようになった。彼らはWebの世界でナンバーワンを勝ち取ったのだ。
A-Z:「利益第二主義」の品揃えで
リアル店舗でも成功
ロングテール戦略は大量の商品やコンテンツを用意する必要があるので面積の限られたリアル店舗では難しく、インターネットのビジネスならではの戦略とされていた。
しかし、日本にはリアル店舗でロングテール戦略を実施している企業がある。
それが、鹿児島県を拠点にする地域密着型のスーパーマーケット「A – Z」だ。
その名前からも察しがつくように、彼らのモットーは「ここに来たら欲しいものがすべて揃う」。
東京ドームのグラウンド面積の3倍と言われる巨大な敷地を有し、食料品や日用雑貨はもちろんのこと、衣料品や神仏具、乗用車に至るまで、ありとあらゆる商品を揃えている。
そのアイテム数は38万アイテム以上。他のスーパーよりも圧倒的に多くの品揃えを持ち、その数は国内最多と言われている。
中には1年に数個しか商品もあり、その効率は決して良いとはいえない。
しかし、効率や利益よりも客のニーズを最優先する「利益第二主義」こそが、結果的に同社の利益に最大の貢献をしている。
1日あたりの来店者数は平均約3万人、年商17億円超え。人口の少ない地域で、しかも市内から離れた立地なのにもかかわらず、「A-Z」は国内でも類を見ない成功を収めたスーパーマーケットへと成長したのだ。