まず、「どの土俵なら勝てるかを見極め、勝てる土俵を選ぶ。」そして、「楽勝できることを、徹底的にやる。」
と、『戦略がすべて』瀧本哲史著(新潮新書)の中で書かれているのを読んで、ここ数日、このことばかり考えている。
楽勝できることを、徹底的にやる。
これが大事だということは知っていた。活躍されている何人かの人に言われてきたからだ。おまえは難しいことをやりすぎてる。金を稼ぐなら、簡単にできることをやりまくるのがいいよと教えてもらっていたのだ。
『戦略がすべて』の中では、オリンピック競技がたとえとして出されていた。日本はロンドンオリンピックでメダルを多く獲得したが、マイナー競技が多かったというのだ。身体能力が同じだとしたら、どの競技を選ぶかでメダルの獲得率は変わる。場を選ぶことが大事なのだ。企業の場合は、それを事業ドメインといい、どのフィールドで勝負するのかを決めなくてはならない。
どのフィールドにおいても楽勝できるというのはなかなかないのかもしれないが、同じだけ努力をするならば楽勝フィールドの方がいいと今は思う。かつての僕は違ったのかもしれない。スポーツならば野球やサッカーのような花形スポーツでトップを目指したいという想いがあり、広告業界でクリエイティブディレクターとして花を咲かせるのだと意固地になっているところもあった。
「才能と努力を成果につなげるには戦略が必要だ」という瀧本氏は、「戦略」という語は、軍事用語からきており、意思決定はそのレベルに応じて、上から「戦略」「作戦」「戦術」の三段階に分かれていたという。仕事をしていると、よく戦略という言葉を耳にするが、それが戦略と作戦、戦術のどれに当たるのか考えるのは大切だと思う。マイケル・ポーターも戦略は業務効果を上げるものではないと言っている。会社の業績を上げるカイゼンのような手法は業務効果を上げるものではあるが戦略ではなく、戦術に近い。
瀧本氏によれば、戦略とは、今までの競争を全く違う視点で評価し、各人の強み・弱みを分析して、他の人とは全く違う努力の仕方やチップの張り方をすることなのだ。
その意味において、楽勝できるフィールドを探すことは違う視点を見つけて、自分の強みや弱みを評価してベットすることになる。これが、才能と努力を成果につなげることに直結するのだ。
では、どうしたら楽勝できるフィールドは見つかるのだろうか?それには自分がいるフィールドがどこなのかを見極めることが大事なのだろう。自分が立っているフィールドが野球なのかサッカーなのか、自分が何のフィールドに立ってるかわからなければならない。(ちなみに、僕は、そもそも自分がなんの競技をしているのかわかっていない経営者と多く出会ってきた。)その上で、野球やサッカーならばスポーツというカテゴリーで見直してみる。また、コーチやマネジメントであれば職能で見直してみる。多くのフィールドがあることを知り、自分の強みと弱みが生きる場所、最高のマッチングができそうだと思える場所を探すことが大事なのだろう。
楽勝できることを、徹底的にやる。
なんだかこの言葉が刺さる年末だなぁ。