『選ばれ続ける必然
誰にでもできる「ブランディング」のはじめ方』
佐藤圭一著
講談社+α新書/2016年8月18日発行
ブランドとは「頭の中に存在する価値やイメージのかたまり」
かつて「ブランド力を高める」といえば広告を打ち、知名度を上げることと同義と捉えられていた時代があったが、現在はいかに良いイメージを持っていただけるか、という活動を指していると著者はいう。そしてブランド化すると「選ばれやすくなり」、「選ばれ続ける」ことになると説いている。
ブランディングは、BRAND+INGに分解でき、BRANDにおいては、あるべき姿を規定して、カタチにするということ。そしてINGでは、あらゆる活動を通して、伝え、浸透させる、という2つのフェーズに分けられる。
さらに注力すべきは「BRAND」の方であり、9割の力を注ぐべきだと力説している。つまり「何を伝えるべきか」がはっきりしていないのに「どう伝えるか」という手段ばかりにとらわれるのは、穴の開いたバケツで水を汲んでいるようなもの。こちらは文章を書く技術とも通じて、非常に説得力があると思った。
本書は、全体的に派手な言説はないものの、読みやすく、納得感があるので、非常に実用的な本だという感想を持った。
概論から、実践的プロセスを、順を追って丁寧に解説
本書では、ブランディングが必要とされる背景やブランドづくりで大切にすべきことから、実践的なブランディングの方法について説明されているので、ブランディングとは何か?という基礎から、実際のブランディングまでを無理なく習得できるようになっている。はじめに本書の構成を説明しており、実際の章のタイトルとは別に下記のように説明している。
第1章 ブランディングが必要とされる背景
「あなたの会社はズレていませんか?」
第2章 ブランド作りで大切にすべきこと
「一瞬の積み重ねがブランドを作る」
第3章 ブランド作りで大切にすべきこと
「社員がブランドを作る」
第4章 「あるべき姿」の見つけ方
第5章 「あるべき姿」を定義する方法
第6章 「あるべき姿」を言葉にする方法
第7章 「あるべき姿」を見える化する方法
第8章 「あるべき姿」を伝え、浸透させる方法
このように、概論から、実践的なプロセスを丁寧に解説しているので、非常に使える本だという印象を持った。ブランディング領域における初心者はもちろん、ブランディングの本を読み過ぎて混乱してしまっている上級者の方にも、今一度原点に還る意味でもおすすめの本だ。読み飛ばすのではなく、丁寧にじっくり精読することで、気づきを多く得られるのではないかと思う。