『ブランドファースト 中小・ベンチャーの成長はブランドから始まる』
木村裕紀著
日経BPコンサルティング/2015年4月13日発行
顧客は企業の「らしさ」に惹かれる
本書は、中小・ベンチャーに特化したブランド戦略について述べられている。著者である木村さんが、長期的に発展を続ける企業を作るために必要なことは何なのかと、自分の会社で実践してきた知見がふんだんに詰め込まれている。
戦略、営業力強化、Webマーケティング、組織作り、財務諸表、人事制度、理念策定、ビジョン経営、行動指針策定、採用力強化、教育研修、顧問の活用、リーダーシップ、幹部研修、ブランドなど多くのことを学び仕事をする中で、自社の14期連続成長を達成。なかでも大きな原動力となったのが、この「ブランドファースト」という考え方だという。
巷にあふれるブランド関連の本は、大手企業を対象としたものが多いなかで、中小・ベンチャー企業に特化したものは珍しく、またご自身が実践したものばかりなので非常に説得力がある。どんな企業にも「らしさ」があると木村さんはいう。顧客はその「らしさ」を感じ取り、多数のなかから企業や商品やサービスを求めている。
中小・ベンチャー企業におけるブランド要素とは?
ブランドはいくつかの要素から構成されるが、中小・ベンチャーにおいて重要なものは、
(1)理念としての存在意義
(2)ビジョンという目指す未来
(3)創業から今日までのコーポレートストーリー
(4)大切にしている行動指針や社是、社風、価値
(5)USP(競合優位性)の明確化
の5つであるといい、ブランディングはこれらの各要素を磨きつつ、そこに一貫性を持たせる取り組みだと説明している。
これまで大きな企業でしかブランディング事例がなかったのは、ブランディングを行ってきたのは広告会社であり、少なくとも1千万円単位の金額がかかることから、なかなか成功事例が世の中に出てこなかったからだとのこと。
しかし、中小企業でもブランディングに成功すれば「採用力・育成力の向上」「顧客・取引先の創造」「組織力の強化」が達成されるため、企業の著しい成長が期待できる。木村さんは自社の成長と取引先の企業のブランディングを手掛ける中で、さまざまな成功事例を生み出し、本書でも実践事例を解説しているので、ぜひ読んで欲しい。
中小・ベンチャーのための「100年継栄」
本書は、各章立てごとに「誤解」→「効果」→「示す」→「伝える」→「実践」→「対談」という流れで構成されている。
ブランド本にありがちな専門用語は少なく、誰にでも内容が理解でき、またすぐに取り組めるようになっているところが大きなポイント。最終章である対談では、経営者の覚悟こそが100年続くブランドを生む、という内容でこちらも中小・ベンチャー企業の方にとってたくさんの気づきが得られるようになっている。
どちらかというと抽象的かつ専門用語の多いブランディング本の中で、ブランディングが身近に感じられると共に、すぐにでも実践できるところがおすすめである。