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イゴール・アンゾフ 【Harry Igor Ansoff】

ロシア系アメリカ人の応用数学および経営学の研究者。

アメリカやヨーロッパの教育機関で教職に就くと同時に、多くの企業に対してコンサルティング業務を行った。著書である 『Corporate Strategy』(1965年、邦訳『企業戦略論』)『Strategic Management』(1979年、邦訳『戦略経営論』) などで、「企業経営戦略」について論を展開。「企業経営戦略」はそれまで語られていなかったとされており、この業績から「戦略的経営の父」と呼ばれる。

アンゾフの提唱した著名な理論に「アンゾフの成長マトリックス」がある。

これは事業の成長を「製品」と「市場」の2軸に置き、さらにその2軸を「既存」と「新規」に分けて表すことで、今後の成長戦略の方向性を分析・評価するフレームワークである。

この分析に則れば、企業は「市場浸透戦略」、「市場開拓戦略」、「製品開発戦略」、「多角化戦略」のいずれかの方向へ成長する戦略を取ることになる。中でも「多角化戦略」は全社戦略と位置づけられ、水平的、垂直的、集成的とさらに分解される。

このように「多角化戦略」はアンゾフが強く関心を持った研究テーマであった。

ロッキード・エアクラフト社の企業計画部門で勤め始めた頃、最初の仕事は多角化事業であった。しかし、当時の多角化は企業買収のことを意味しており、役員達は現在のような「多角化戦略」の考えを持っていなかったという。この経験からアンゾフは企業経営の傍ら多角化に関する論文も執筆している。

その他、「分析麻痺」や「乱気流」など戦略決定にあたって注意すべき事柄や企業の意思決定を3つに分類した「3Sモデル」など現在の経営戦略の源流となる多くの理論を残した。

アンゾフはコンサルティング業務、教授職を通して、生涯に亘って「企業経営戦略」について深い考察を重ねた。まさに「戦略的経営の父」と呼ばれるに相応しい人生を歩んだのだ。

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