小売業態の発展とライフサイクルを説明する仮説理論。
1958年、アメリカの経営学者M.P.マックネア(M. P. McNair)によって提唱された。
アメリカでは19世紀後半以降、百貨店、チェーン・ストア、スーパーマーケット、ディスカウント・ストアなど、次々と新しい小売業態が登場するが、その多くが低価格を武器に参入していた。
しかし、価格競争が激化するとより多くの消費者を獲得するために、品揃えやサービスなどで他店との差別化を図らないといけない。
その過程においては、売場面積の拡大や店内施設の改善などが必要になるため、コスト増大や高マージンの獲得を不可避とし、消費者への低価格訴求は難しくなる。
結果としてディスカウンターではなくなったとき、新たなディスカウンターが登場して小売業界で躍進する。
こうしたライフサイクルを「小売の輪」と名付け、それが一回りするごとに新しい小売業者が登場し、業界が発展していくというのがこの理論の主張である。
なお、この仮説に対する反論としては、新しい小売形態は必ずしも低価格を武器に登場しない、消費者の店舗選択要素が無視されている、といったものがある。
ただ、アメリカの事例では確かに当てはまるものが多く、小売形態を予測する上で有効になりうる理論だと言える。