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ホンダの名を全米に広めた“安いバイク”
【コストリーダーシップ戦略の成功事例(3)】

CATEGORY : ブランディング成功事例

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UPDATE : 2018.12.11

文責 : 松山響

この記事のポイント

大型バイク市場への布石となる、薄利多売のスーパーカブ

コストリーダーシップ戦略は、マイケル・E・ポーター(MichaelE. Porter)によって提唱された競争戦略の1つ。

競合他社よりも相対的に低コストで製品やサービスを提供することで競争優位性に立つこと。つまり、コストを下げることで低価格を実現し、それを武器に顧客を集める戦略のことを指す。

この戦略を実行するためには、低コストでのモノづくり・サービスづくりが重要であり、高い技術力と同時に、業務効率化やシステム化による社内のコスト削減が求められる。

ゆえにコストリーダーシップ戦略は、市場ですでに高いシェアを誇っている企業や、市場にこれまでなかった全く新しい商品・サービスを展開する企業などが向いていると言われている。

大型バイク市場への布石となる、薄利多売のスーパーカブ

ホンダが世界に名を轟かせた最初のきっかけが、アメリカにおけるバイク事業の成功と言われている。

日本国内でバイクメーカーとして確かな地位を築いていたホンダは、新しい市場としてアメリカに狙いを定める。ただ、当時の欧米メーカーと比べると、ブランド力、品質、コスト、全てにおいてホンダは劣っていた。

そこでホンダが打ち出した戦略は、小型バイク市場でスーパーカブを薄利多売するというものであった。

当時のアメリカでは大型バイクが一般的。小型バイクというセグメントは重要視されていなかった。

そこに目をつけたホンダは、薄利多売によって一気にマーケットシェアを拡大。同時に、販売実績を重ねてブランド力を向上させるとともに、規模の経済で原価低減を進め、生産ノウハウを蓄積することで品質を向上させていった。

こうして小型バイク市場を制覇したのち、培ったコスト競争力や品質力を武器に大型バイク市場に進出。マーケットを席巻したことは世界に衝撃を与えた。

大型バイクではなく小型バイクを売ることは、付加価値が低い商品を売るということ。企業戦略の王道は商品の付加価値を上げていくことであり、ホンダの戦略は特異かもしれない。

しかし、結果的にホンダはこの戦略で大きな成功が収められることを証明した。新規市場に対してコストリーダーシップ戦略で一気にシェアを拡大させた好例と言えるのだ。

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