今日は、原田泳幸さんが顧問で参加される会社の経営会議だった。いつもながら、原田さんから学ぶことは多い。
僕はマーケティングを担当しているのだけど、そもそもマーケティングの役割がこれまでと違う。マーケティング担当というと、顧客データを分析したり、業界や市場の調査をしたり、広告やブランディングを行ったりと幅広い領域を担当することになり、会社や部署によってその内容は異なることが多い。
原田さんがいうマーケティングとは、店まで人を連れてくることである。客数を増やすことと言ってもいい。広告や集客だけとか市場調査だけなんて許されない。新規客をどれだけ増やせるか、その新規客とは、当たり前だけど、問い合わせた人ではなく来店客だ。
驚いたのはコールセンターも僕の仕事だったことだ。これまでマーケティング関係の仕事をしてきて、自分がコールセンターを担当するなんて思ってもいなかった。だけど、コールセンターが営業を担っていることも多く、今回のケースもそうなっているのだから当然のことだろう。
予約からの来店率が落ち込んでいることから、コールセンターの問題が浮かび上がった。タイミング的にコールセンターをアウトソースした頃から数字が下がり始めている。それが本当にアウトソースしたことが原因なのか?他に原因があるんじゃないか?原因究明が一気に行われる。
原田さんはブランディングについても破格の知識と経験を持っている。アップルとマクドナルドの社長をされてきたのだから当然なのかもしれないが、ここまでブランディングのことを明確に語り、新たな策を打ち出していける人を初めて僕は見た。アディダスジャパンをゼロから1000億円企業にしたべズー社長もブランディングを経営の中心に据えると言っていたが、その実を詳しく聞くことはできなかった。
原田さんは、ブランドは資産だという。Goodwillと呼ばれるブランド資産は、戦略的な資産であって、事業や企業が売却された際にはそれが評価対象になる。だからブランドポートフォリオの構成には検討を重ねるべきだという。もちろん、らしさとしてのブランドも大切にしている。原田さんは経営は、らしさと人材と財務だとよく言っているので、らしさは最重要項目なのだろう。らしさを失ったブランドは必ず倒れると言っていた。
らしさを考えるときに、顧客価値の提言という言葉も一緒に口にすることが多いのだが、そのブランドが持っている顧客価値は一体なんのか?独自性があるか?それを答えが出るまで突き詰めて議論を重ねて行く。もし、どこかのブランドの顧客価値の提言が書かれた紙が道端に落ちていて、ブランド名が書かれていなかったとしても、それがどこのブランドであるかわかるものでなくてはならない。
それほどまでにしてつくられた「らしさ」は強い。そもそもらしさ自身が強みから生まれているのだから、さらに磨かれているなんて、想像しただけでその強力さ、競争優位性の高さが感じられるのではないだろうか。
ブランディングはらしさの追求から始まると、原田さんは教えてくれた。