今や多くの企業にとって、トラフィック、見込み客、そして売上を向上させるためにコンテンツマーケティングを活用することは欠かせない。それはBtoB企業においても例外ではない。実際、アメリカのContent Marketing InstituteとMarketingprofsが発表したレポートによると、アメリカ国内のBtoB企業の88%がすでにコンテンツマーケティングを使用しているという。
BtoB企業のコンテンツマーケティング方法を学ぶにあたり、良き参考例として挙げられるのがアメリカのFisher Tankという大手タンクメーカーの取り組みだ。創業は1948年、水や燃料などを貯蔵する大型タンクの製造や設計・建設などを担い、ひとつのプロジェクトの販売サイクルは1年以上でその売上は数百万ドルにものぼる。
このような大型製造業の多くが、「我々の見込み客はインターネットを使用しない、ソーシャルメディアを活用しない」と考えがちである。同社も例に違わず、ウェブサイトはあるもののSNSへのリンクや、見込み客の行動を促すような工夫もなく、キーワードの最適化などもなされていなかった。そこにマーケティングの発想はなかったとも言える。
そんな中、コンテンツマーケティング専門の代理店からの提案により、顧客中心のウェブサイトへリニューアルすることを決める。
具体的には、ナビゲーションの単純化や、検索に引っかかるようなキーワードの最適化、ソーシャルメディアのリンク作成、ブログの開設、事例の無料ダウンロードなどを新たに設けた。
開設したブログ「THE THINK TANK BLOG」では、これまでに作ってきたタンクの紹介や、業界の専門家からのアドバイス、業界の最新情報などのマニアックな情報を定期的に更新。社員が中心となって執筆するため、その専門性と質の高さは折り紙つきだ。
また、SNSではtwitterなら業界ニュースの配信、Facebookならユーザーとのインタラクションを増やすなど、各メディアに応じた使い分けを実施。見込み客に資料をダウンロードさせることで、見込み客のリスト化も実現した。
その結果、12週間で下記のような驚くべき成果を得られたという。
・ウェブサイトへのトラフィック 119%増
・オーガニック検索トラフィック 70%増
・SNSトラフィック 4,800%増
・見積もり依頼 500% 増
・新規売上 340万ドル
ウェブサイトの各種トラフィック増加はもちろんのこと、見積もり依頼や新規売上の大幅な増加など、ホームページをリニューアルする目的の達成に見事コミットメントしている点が非常に優れている。
日本のBtoB企業においては、コンテンツマーケティングどころか、インターネットも十分に活用していない企業もまだまだ多いかもしれないが、顧客中心の発想になると大型製造業のような業種でもコンテンツマーケティングは有効であることをこの事例は示している。