コンシューマーインサイトとは、消費者の行動や態度の背景にある意識を深く洞察すること。
行動に結びつく内面心理を深掘りしたり、行動や購買に結びつくブランドと生活者の共通点や、ライフスタイルなど目に見えないものを解釈することで、新しいインサイトを発掘することを目的としている。
アンケートなどで消費者自身の言葉から出てくるニーズは、すでに表面化されたものであり競合他社も持っている情報の可能性が高い。
一方、コンシューマーインサイトは消費者も言葉にできないような無意識的・潜在的なニーズを発見することにつながるため、新しい製品・サービスの開発や市場の開拓に有利となるのだ。
世界的なヒゲ剃りメーカー「ジレット」がインド市場攻略に成功した戦略PRキャンペーン「Shave India」はコンシューマーインサイトを活用した好例である。
同社の戦略とは、「ヒゲがあったほうが色男」というインド固有のイメージを打ち破ること。それによって、インド人男性のシェービング習慣を活性化してシェアを拡大するのが目的だった。
このキャンペーンのコアになったのは、「インド人は実は議論が大好き」というローカルインサイトだ。インド人は例えばちょっとした仕事の依頼であっても、仕事全体から見た作業の位置づけや意味合い、重要性などを事細かに説明することを求める傾向にある。このインサイトを基に設計されたキャンペーンは、「インド男性のヒゲはありかなしか?」という議論そのものを国民にふっかけるという大胆なものだった。すぐさま、インド各地で論争が沸き起こり、インド人のヒゲ剃りへの興味・関心を煽ることに成功。
「ヒゲの世論」をブランドプロモーションに落とし込み、シェアは飛躍的に拡大。インドにおけるジレット商品の市場シェアは50%を超えると言われている。