浅草のブランディングは、浅草神社によって行われた
浅草神社は、その門前町として江戸時代より栄えてきた「浅草」の地域ブランディングに成功している。かつて日本では、神社仏閣は地域の中心的存在であり、神社には常に地域の人々が集まり賑わいを見せていた。浅草神社は、神社仏閣を通じた地域住民のコミュニティを再現し、地域を活性化させる取り組みを行ったのだ。浅草は、所々で日本の伝統文化に触れられる街。この特色を生かした地域ブランディングである。
初詣ならぬ「夏詣」という新習慣が大ヒット!
日本人には大晦日の「年越の大祓」、元旦の「初詣」と神社仏閣に詣でる習慣がある。そして、同じく年の始まりから6カ月後には「夏越の大祓」があるが、その翌日には新年の「初詣」にあたる習慣がなかった。
そこで浅草神社は「夏詣」という新習慣をつくり、新年のように「夏越の大祓」の翌日にも神社を詣でる新習慣を根付かせる取り組みを行った。2014年から始まった「夏詣」には、浅草神社にて浴衣の着付けが行われ、流しそうめんやうなぎ奉納祭り、七夕飾り教室などの七夕にちなんだ催しなどの数々のイベントが開催され、賑わっている。今では、「夏詣」は浅草の夏の風物詩として定着しつつある。
また、浅草神社は毎月1日(1月を除く)に社務所を解放し、日本の伝統文化を学ぶ教室を開催している。ここでは、古事記や日本書紀などの日本古来の文学、けん玉やあやとりなどの昔なつかしい遊び、茶道などの伝統文化に触れることができる。
日本の伝統文化を学べる教室を定期的に開催!
さらなる取り組みは、地域住民向けの和食料理教室だ。神道には、穀物や野菜、魚肉などの命あるものを食材として神に捧げ、その食材を食して生きる力を分けていただく「直会(なおらい)」という考え方がある。この考えに基づいた和食料理とともに、日本文化を学ぶ料理教室は隔月で行われている。
こうした取り組みは、「浅草」という地域の特色を効果的にアピールし、浅草神社に地域住民が集う機会を創出した。イベントを通じて地域住民が繋がりを深め、地域のブランドイメージが向上。結果的には、住民のみならず観光客も増加し、地域活性に成功した事例である。
熱海が若者の街に生まれ変わった理由とは?
地域ブランディングの成功事例:熱海編
URL入れて