「ロレアル」は、他社のコスメブランド等を買収し、自社ブランドとして育てながら世界に広める販売戦略に積極的に取り組んでいる企業である。
ロレアルのブランド展開は、4つの事業本部によって行われている。
ロレアル リュクス事業本部は、百貨店を中心に販売するブランドの輸入、製造販売を担当。1978年に販売を開始した「ランコム」をはじめ、 「ヘレナ ルビンスタイン」 「ジョルジオ アルマーニ ビューティー」「ラルフ ローレン」などのデザイナーズブランドの他、フレグランス・ボディブランドやソニックケアブランドなどを展開している。
また「ロレアル パリ」「メイベリン ニューヨーク」など一般消費者を対象に、量販店、薬局、化粧品店、バラエティストアなどを通じて販売される化粧品、ヘアケア製品の製造販売を統括するコンシューマープロダクツ事業本部。
「ロレアル プロフェッショナル」など、サロン向けの業務用製品と美容室での専売製品を製造販売するプロフェッショナル プロダクツ事業本部。
そして、皮膚科治療の補助用化粧品ブランドを扱うアクティブ コスメティックス事業部がある。
上記4つの事業部によって管理されているロレアルブランドの多くは、実は同社がM&Aで獲得したブランドである。
ここで大きなポイントとなるのが、彼らは主に海外マーケットを広げる手段としてM&Aを行っているということ。
一般的に、市場が確立されている海外マーケットに新規で参入するには、通常は莫大なコストと時間を必要とする。
そこでロレアルは、参入したい国で既に市場シェアを獲得している地域独自のブランドを買収し、それを「メイベリン」ブランドに統合することでマーケット拡大を成功させているのだ。
例えば、アルゼンチンでは同国のメイクアップ市場でトップに君臨していた「ミス イラン」を買収し、製品や容器、広告などを統合して「メイベリン ミス イラン」として販売した。同様にドイツでもローカルブランドの「バイ ジェイド」を買収し、「バイ メイベリン ジェイド」としてリブランディングを行なっている。
こうした戦略で欧州、南米、アジアで積極的な海外展開を推進していき、売上高はどんどん上昇。
もともとメイベリンは米国でも1位になれなかったローカルブランドだったが、今や世界各地に展開する世界一のコスメティック・ブランドへと成長したのだ。