ロゴの変更は、企業や事業にとって大きな意味を持つ。大きな利益をあげるものもあれば、逆に負債を負うことだってある。たとえば、ナイキは成功事例だと言えるだろう。
1978年のロゴではNIKEの文字がつけられていた。それが1985年には赤い色が加わり、さらにブランドイメージの刷り込みを強化する。それから10年後、1995年にはブランドイメージがSwooshだけで十分だということになり、文字はなくなってイメージのみになった。
逆に大きな負債を負ってしまった例として、GAPはあまりに有名だ。
1969年創業のGAPは、当初、theがつき、角度がついたロゴを使用していた。1984年に時代の変化に合わせてボックスロゴに変更する。小文字から大文字に変わり、細身で洗練された印象のセリフフォント、Spire Regularが用いられた。文字感があいているのは、この年代の特徴だったという。
2000年に入って、2010年10月、GAPはよりコンテンポラリーなイメージを打ち出そうとロゴを変更する。
セリフフォントからHelveticaにし、ボックスは小さく文字の右肩にグラデーションをかけて配置した。これに対して、消費者は大きく反発。ロゴは元のものに数日で戻された。これに伴う損害は100億円以上と言われている。
GAPはファッションブランドだけに時代の流行に敏感だったのだろう。時代のイメージとブランドイメージを合わせることに目を向けたが、消費者を置き去りにしてしまったことが大きな失敗となってしまった。