「成功する会社は、トップがブランドアンバサダーであることだ」
と原田泳幸さんは話してくれた。
好々爺のような微笑みだが、50年以上ドラムを続け、トライアスロンで鍛えた肉体は服の外からでも屈強さが伺える。戦場で戦うソルジャーのような雰囲気もある。スティーブ・ジョブズをはじめとする世界中の猛者たちと渡り歩く人とはこのようなものなのか。
原田さんが二つのマックで社長をしていたことは有名だ。アップルコンピューターとマクドナルド。この二つの会社で大きな成果をあげられた。本人は気に入っていないようだが、プロ経営者などと呼ばれたりしている。
原田さん自身、アップルでもマクドナルドでもブランドアンバサダーを務めてきたという。その原田さんがいう言葉の意味は大きくて、重い。
すべての会社はブランドである。
あまり意識していない会社も多いかもしれないが、これは事実だ。何もアップルやマクドナルドのようなブランドだけを言っているのではない。何らかの名前を持った会社はブランドである。不動産屋であろうが、スーパーであろうが、BtoBの会社であろうが、規模が大きかろうが小さかろうが、それはブランドなのだ。
もっと言えば、個人だってそうだ。名前を持つものすべてがブランドなのだから。個人の場合は、自分のトップは自分。自分が自分ブランドのアンバサダーになれば、その人は成功するというわけだ。
ブランドアンバサダーになるにはどうしたらいいのだろう?
アップルやマクドナルドのように影響力の大きい会社でない場合(そういう場合がほとんどだと思うが)、マスコミとの接点も少ない。
そもそもアンバサダーとは、大使と訳されることが多いようだ。簡単に言えば、その人を通じて伝えたいことを伝えることである。
「アンバサダー=翻訳者&発信者」といった感じだろうか。
翻訳のところがミソで、『グレート・ギャッツビー』が村上春樹と野崎孝で訳が異なるように翻訳の仕方や言葉の捉え方などでだいぶ変わってくる。きっと、よいアンバサダーとはうまい翻訳家であり、発信者なのだろう。
自分は自分の翻訳、というか自分の魅力を伝えるのが難しいように、社長は自分の会社の魅力を伝えるのが難しいと感じる人が多い。
いろいろと魅力があるんだけど、うまく伝えられなくて・・・というのはいい方で、最悪なのは「うちには魅力なんてないから」というネガティブMAX状態になることだ。
こうなってしまうと、アンバサダーなんてできるはずもない。アンバサダーは発信者でなくてはならないが、発信する内容を持たないのだから。
僕はブランドアンバサダーになるには、内容を先に考えるよりも、発信を先にするのがいいんじゃないかと思う。
とにかく発信してみる。そうすると誰かから何かが返って来る。質問や感想やなんやかんや。それに応ずるように言葉を出していけば、それを繰り返していくうちに、よいブランドアンバサダーになれるのではないかと思うのだ。
たとえば、魅力がないよーと言ってる社長さんが、
「今日はうちの会社の餅つき大会でした!」と発信
「御社はどんな会社なんですか?楽しそうですね!」とコメント
「うちは◯◯の会社で、社員が元気なのが自慢です!」と返信
ほら、魅力が出た。
社員が元気は大きな魅力の一つ。これを繰り返していけば、周りの人が自分をよいブランドアンバサダーに成長させてくれる。
自分から発信することで質問してもらえる状況をつくること。完璧な内容を用意してから発信する必要なんて何もない。むしろ、それよりも質の高い内容はみんながつくってくれるんだと思う。
少しの意識で始められるはず。今日からぜひ、ブランドアンバサダーに。