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人は、理由があれば行動する。
だから、理由を用意して選ばせる

CATEGORY : ブランディングを本に学ぶ

UPDATE : 2019.05.17

文責 : 山田歩

この記事のポイント

心理マーケティングで、売上と利益を増大!

選ばれる理由のつくり方、伝え方

心理マーケティングは、ブランディングだった

『選ばれる理由』
武井則夫著 現代書林/2013年12月18日発行

心理マーケティングで、売上と利益を増大!

本書は、選ばれる理由についてのブランディングの本であるだけでなく、心理マーケティングについて書かれた本である。本書の核心は、『人は理由があれば行動する。そして理由が伝われば選ばれる。だから「選ばれる理由」をこちらが用意する。』というもの。非常にシンプルであるが、実際に読んでみると説得力があり、すぐに使えるメソッドが多数ある。

私たち人間が何かの行動を起こすとき、そこには必ず「理由」があると著者は述べる。動物には理由はなく、そこにあるのは本能だけ。つまりその人間にとっての「理由」を考えることが、マーケティングに直結するということだ。確かに情報によって、私たちは購入するものを決めている。つまり比較して、買うに値する「理由」が見つかったときに、購入を決定するのである。

選ばれる理由のつくり方

あなたの会社の「ウリ」を30秒で述べてください。そのように問われて、会社や商品のウリをすぐに答えられないようだと、選ばれないと著者は言う。伝える側が「ウリ」を一言ではっきりいえないのであれば、選ぶ側にも伝わらないということ。ウリをつくるために大事なのは、No.1を見つけること。そこで5つの切り口で探すのが良いと著者は述べている。

①売上、シェア
②上手い、美味い、巧い
③速い
④安い
⑤条件をいくつか重ね合わせ、その中でNo.1

この中でも特に重要なのが、⑤の「条件をいくつか重ね合わせ、その中でNo.1」。たとえば「〇〇県、40代向け美白エステ」とか、「〇〇地方・贈答用のお菓子」といった感じで、条件をいくつか重ね合わせてNo.1を作っていくと、他にはない強いウリができあがるのだ。

選ばれる理由の伝え方

次に大切なのが、「選ばれる理由」の伝え方。ウリを見つけるだけでは十分ではなく、そのウリをどのように伝えるかが重要だと著者は述べる。ポイントは以下の8つ。

①伝えたいお客様は誰か
②お客様を「プロファイリング」
③さとらせ系アプローチ
④姿や状況を思い浮かべられる表現
⑤お客様は必ず「二度評価する」
⑥性別による好き嫌いの違い
⑦見せる数字の原則
⑧必然的に勝つ「教えるマーケティング」

たとえば「①伝えたいお客様は誰か」は、つまるところターゲット設定ですが、単に女性とするのではなく、30代の未婚の都内に住んで猫を飼っている女性であるとか、よりペルソナを具体的に、細かくセグメントしていくということ。詳しくは本書を手にとっていただければと思うが、専門的になりすぎず、わかりやすく書かれているところが本書のポイントだろう。

選ばれるために大切なことは、まずは「良さそう」と感じていただくこと。良さそうというのは「期待感」のこと。この期待感こそが、新しいお客様を増やすための大きな武器となっていく。

私たちは初めて商品を買うとき、その商品が本当に良いものかどうかを確かめることができないので、期待感が最も高いものを選ぶ傾向にある。そして、お客様から最も選ばれ続ける会社とは、お客様が選ぶ基準を知っていて、自社の「ウリ」をそこに合わせ、その「ウリ」を磨き続けることが社風にまで昇華されている会社であること。つまり、会社が持っている素晴らしい価値に気付き、それをお客様に伝えれば、より多く、より高価格で買っていただける、ということ。

心理マーケティングはブランディングでもある。本書は両方の知識を高めていける一冊だ。

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