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「売れる商品」はない。
「売れる売り方」があるだけ。

CATEGORY : ブランディングを本に学ぶ

UPDATE : 2019.03.29

文責 : 山田歩

この記事のポイント

「関係性と体験」で売れる時代がやってきた

資本主義から、「つながり経済」へと移行

各人の知識を邪魔しない、汎用性のある理論だ


『新版 安売りするな!「価値」を売れ!』
藤村正宏著
日本経済新聞出版社/2017年7月12日発行

「関係性と体験」で売れる時代がやってきた

題名に惹かれて手にとった本書。

ブランディングの大きなメリットの一つに、価格競争の回避がある。つまり安売りしなくても、よいブランドであれば売れるのだと。

そういったことが書いてあると思い、書店で手にとって軽く立ち読みしてみたら、「商品やサービスに独自の価値はない」という見出しがいきなり目に飛び込んできた。

ブランディング関連の本には「あなたの企業や商品の独自性を発見しなさい」ということが書いてあることが多いので、少し面食らってしまった。
 
 
著者はこの見出しに続いて「いい商品、こだわった商品だったら売れるか?それは幻想。売れません」と言い切ってしまう。

つまり今の時代は、商品やサービスの質はどこも高く、独自の価値を生み出すのは難しいという考え方である。どんなにこだわった商品でもサービスでも、代わりになるものはたくさんある。そこで著者は、「つながり」と「関係性」が大事だと説いている。

モノではなく、体験を売る「エクスペリエンス・マーケティング」が重要になる時代がやってきたというのだ。
   
 
 
 

時代はSNSなどを駆使した「つながり経済」へと移行

すでに資本主義が終焉を告げて、その代わりに台頭してきたのが「つながりの経済」だと著者は主張する。

人と人がつながり、スマホで24時間365日つながり、企業と人も直接つながり、その「つながり」の中で消費が行われているという。知り合いから買う。友達から買う。良く知っている店や会社から買う。そういう時代だそうだ。

つまり、この「つながり力」を創出した企業が繁栄できるということ。

キーワードとして
①ゆるやかな関係性
②個を出す
③好き・楽しい
④編集
⑤逸脱する

という5つのポイントが挙げられ、それぞれの説明や事例が紹介されている。

詳しくは、ぜひ手にとっていただければと思う。昨今SNSマーケティングに注目が集まっているが、とても説得力があり、あらたな知見が得られる本だと思った。
 
 
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各人のリテラシーに合わせて、使える知識が満載

ブランディングやマーケティングについて、皆それぞれの考えや理論がある。体系化されている部分や、あいまいなまま知識化されている方もいらっしゃるだろう。

本書のいいところは、各人のリテラシーに違いがあってもその知識を邪魔しない、ということだと思う。

得られた知識をすぐにトッピングして、日々の業務に活かすことができるので、一冊持っておいて損がないのではないかと感じた。

ブランドやマーケティングの本を読んでいると、本によって真逆のことが書かれていて、どちらが正しいのか不安になることがある。本書は比較的「これは違うんじゃないか?」という疑問を持たずに読み進められることができた。

5つの要素から、まずは自身の業務に応用できそうな部分を選んで取り入れてみると新たな発見が得られるかもしれない。 
 
 
 

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