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イノベーター理論を理解するための5つの消費者層

CATEGORY : ブランディング用語集

UPDATE : 2020.02.28

文責 : SINCE.編集部

イノベーター理論とは、新製品の購入に対する生活者の態度を5つのタイプに分類し、イノベーションの普及を理論化したもの。1962年、スタンフォード大学のエベレット・M・ロジャース教授が自著『イノベーション普及学』の中で提唱した。

ロジャースは新商品の購入に対する態度を、購入するのが早い順番から下記5つに分類し、それぞれの割合を算出した。

(1)イノベーター(革新的採用者)2.5%
(2)アーリー・アダプター(初期少数採用者)13.5%
(3)アーリー・マジョリティ(初期多数採用者)34%
(4)レイト・マジョリティ(後期多数採用者)34%
(5)ラガート(伝統主義者)16%

その上で、イノベーターとアーリー・アダプターを足した16%のラインから急速に普及率が上昇することから、アーリー・アダプターへの普及がイノベーションの普及のカギを握ることを発見した。これを、「普及率16%の論理」と呼ぶ。

5つの消費者層についての説明は以下のとおり。

■イノベーター
市場に投入されて間もない商品・サービスを最も早く取り入れる層で、新しいテクノロジーや新製品に飛びついて自ら試してみることに強い関心を示す。いわゆる「おたく」と形容されがちなのがこのグループである。

イノベーターの存在はどの市場においても限りなく少数。市場全体の2.5%であると言われている。

さらに、先進的で次々と新しいものに飛びついているため、コミュニティやクラスタの理解の範疇を超え、なかなか尊敬の対象になっていないケースも多い。

ただし、新製品のマーケティング活動の初期段階において、イノベーターに製品を購入してもらうことによって機能改善も含めた実験台としての役割を持たせることができる。そして、信頼あるイノベーターから一定の評価を得ることは、「新製品としてふさわしい」と認められるということ。次のアーリー・アダプターの関心を喚起させるという点で、イノベーターの存在は重要であると考えられている。

■アーリー・アダプター
イノベータと同様に、新しい商品・サービスが市場に誕生してすぐに利用する層。テクノロジーそのものではなく、それがもたらす価値や利便性に関心を示す。他者の意見や購買行動にはあまり興味がなく、自らの感性や直感で製品を選ぶ傾向にあり、開発者が想定していなかった商品・サービスの利用方法を考え出すケースもある。

市場全体の割合は13.5%。ただ、一定のクラスタやコミュニティの中でカリスマ性を持っていたり、他者への影響力を持っている人が多いので、この層をいかに射止めてアーリー・マジョリティへと普及させるかが販路拡大への大きな鍵となる。

■アーリー・マジョリティ
新商品・サービスの購買に対して、アーリー・アダプターがこれまでにない価値や利便性を重視するのに対し、アーリー・マジョリティは実用性を重んじる。新しいものには比較的慎重ではあるものの、平均よりも早く新しいものを取り入れる傾向にある。プラグマティスト(合理主義者、実用主義)と呼ばれる場合もある。

アーリー・マジョリティは市場の3分の1の割合を占めると言われており、また他市場に製品を浸透させる触媒層の役割も持っている。そのため、「キャズム理論」では、アーリー・マジョリティ対して積極的にマーケティングを行うべきと提唱されている。

■レイト・マジョリティ
新商品・サービスに対して懐疑的で、それらが市場に普及してから、購入を決断するグループのこと。保守派やフォローワーと形容されることもある。

この層は「みんながやってる」「大人数が使用している」という確証が得られない限り新しいものを選択することはない。アーリー・マジョリティの使用によって確かな実績が積み重なったり、使わないと不便になるという状況下でしか動かなかったりもする。

一方、安心できる商品・サービスであると判断すると、永続的に利用してくれるのもこの層の特徴である。

アーリー・マジョリティと同じく、レイト・マジョリティの市場は1/3の割合。レイト・マジョリティからの支持を得られると、その商品・サービスは開発コストや販売コストを回収できる段階になる。最も利益が望める時期であり、成熟期に入ったといえるだろう。

■ラガード
新商品・サービスに対して懐疑的で、市場に幅広く普及してから購買する、あるいはずっと購入しないグループのこと。

自分が理解できない機能や、新しいテクノロジーに対してリスクを感じる人々であり、遅滞者、懐疑派とも呼ばれる。

ラガードが意思決定に用いるのは他人の導入事例や口コミなどではなく、自己の過去体験である。そのため採用/不採用は過去の観点から判断されるため、新しいものやイノベーティブなものとは相性が悪い。彼らはリスクを重視するので、強い確実性がなければ採用に至ることはないのだ。

ラガードはマーケティング的に攻略が難しいと考えられており、また、他の消費者層への影響も少ないため、比較的ないがしろにされることの多い層である。一方、ラガードの懐疑的思考をうまく利用することで、商品・サービスの改善につなげる手法もある。

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