世界有数の消費財メーカーであるユニリーバ。石鹸のDOVEや紅茶のリプトンなど、日本でも有名なブランドを抱えている。
同社は以前からコンシューマーの購買動機を調査していたが、それは購入後のコンシューマーに「なぜその商品を買ったのか?」を質問する「リコール調査」の方式を取っていた。しかし、同社は2010年過ぎから、買い物途中に割り込んで調査する「購買時点調査」に移行したという。
例えば、ビールを購入したコンシューマーに対して、リコール調査と購買時点調査で同じ質問をしたところ、リコール調査では平均3.8個の理由を挙げるのに対し、購買時点調査では平均1.4個の理由を挙げた。さらに前者では価格の安さや特売などを理由に挙げていたのに対し、後者はよく知られたブランドだからという回答が最も多かった。
この調査からわかったことは、消費者は自身の行動の理由を、時間が経過すると合理的な理由に作り変えてしまう性質があるということ。真の購買理由を探るためには、購買時点調査のほうが有効であることを導き出したのだ。
同社のグローバル・ショッパー・インサイト・ディレクターを務めるアスク・バンダー・ワーフ氏は「人はなぜその行動をしたかということよりも、何をしたのかを正確に覚えている。よって、何をしたのかに重点を置いた調査を行うべきだ」と述べている。そして、コンシューマーのメンタル面と物理面の両方を満足させるためには「購買に至る経路全体で考えなくてはならない」とも述べた。
2013年の純利益が前年比で約5億ユーロ上回るなど、右肩上がりの成長を遂げているユニリーバ。その要因のひとつに、上記のインサイト調査の切り替えが貢献した可能性は高いと言える。