サイゼリヤの価格競争力を高める要因は、徹底的な効率化とシステム化にあり
サイゼリヤは創業以来、徹底した低価格を実現しながら成長を遂げてきた外食チェーン。
中価格でイタリア料理を提供するファミリーレストランが多数ある中、それと比較にならないほどの低価格で品質の劣らないイタリア料理が提供されるとあって、主に若年層やファミリー層から多くの支持を得ている。
サイゼリヤの価格競争力の維持を可能にしている要因は、徹底した効率化・システム化にある。
そのひとつが、商品の原料となる野菜の生産過程のシステム化だ。
自社農場を所有して、生産と管理に工夫を
サイゼリヤは、福島県に100万坪の自社農場を所有している。
収穫した直後の野菜を4℃の環境で保管し、休眠させた状態で輸送するコールドチェーンシステムを構築。鮮度が保たれたままでの加工、各店舗への配送を可能にしているのだ。
また、数千種類もの野菜を実際に栽培し、自社の提供する商品に合った品種の選定を徹底して行う。生産性の高さを求めて四角いレタスを開発するなどの品種改良にまで着手している。
店舗で包丁を使わなくてもいいようにするために
さらに、サイゼリヤでは工場で可能な限りの加工を済ませた食材が各店舗に入ってくる。そのため、各店舗では包丁を使用することなく、少ない人数での調理が可能になる。
また、メニュー数を抑え、広告費をかけないなどの努力も大幅なコストダウンにつながっている。
生産性を高めるための専門部署を設置
サイゼリヤでは、全チェーン店の業務状況を細かく把握し、生産性の向上を図るための専門部署が社内に設けられている。
店舗の清掃を、掃除機からフロアモップに切り替えたところ、清掃時間が1時間から30分に短縮したという象徴的な取り組み事例があるが、衛生面や調理過程における様々な条件が数値化されて管理されているため、従業員にも論理的な思考が求められる。
製造・生産・流通・販売などのすべての過程を自社で運営し、そのあらゆる過程の徹底的な効率化・システム化によって実現する低価格。そして、構築されたシステムは、日々改善され続けている。
サイゼリヤの強みはこうした進化であり、独自の経営戦略といえるであろう。