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【ランチェスター戦略の成功事例】ローソン一強の牙城を崩した「一点突破」作戦

CATEGORY : ブランディング成功事例

UPDATE : 2019.11.29

文責 : 一筆太郎

この記事のポイント

日常生活で買い物に不便を感じている人向けの「近くて便利なお店」

特定地域に集中して店舗を増やす「一点突破」作戦

ローソン一強の牙城を崩した、大阪での集中出店

ランチェスターの戦略とは、イギリスの航空学者、フレデリック・W・ランチェスターが提唱した「戦闘の法則」。

軍隊の戦闘力を武器の性能(武器効率)と兵力数で数式化する理論で、もともとは戦時中に軍事目的で研究・活用され、現在はマーケティング戦略の理論として活用されている。
 
 
この戦略では、参入する市場で上位を占めるプレイヤーが目もくれないようなニッチ市場を開拓する、地域やターゲットを極限まで絞り込む、特定の分野に全リソースを注ぎ込む、といった戦略が取られることが多い。

この時忘れてはならないのは、武器効率(質的経営資源)だ。

強者の武器効率と差別化できないと、兵力の勝負に持ち込まれてしまう。局地戦においては商品やサービスの優位性・独自性を持つことが重要なのだ。
 
 
 

日常生活で買い物に不便を感じている人向けの「近くて便利なお店」

 
今や誰もが知っている「セブンイレブン」。

実は創業当時、同社はスーパーマーケットを主軸とした事業を展開していた。

現在のコンビニエンスストア事業を積極的に展開し始めたのは、創業から少し遅れてのことである。
 
 
セブンイレブンのコンビニエンスストア事業は、時代の流れとともに変化する顧客のニーズに合わせて進められていく。

彼らがターゲットに選んだのは「日常生活の中で買い物に不便を感じている人」。そのニーズを果たすべく、「近くて便利なお店」をコンセプトに事業を展開したのだ。
 
 
 

特定地域に集中して店舗を増やす「一点突破」作戦

しかし、今でこそ全国区のセブンイレブンも、一斉に全国展開されたわけではない。

地域ごとに徐々に進出し、コンビニエンスストア業界で圧倒的なシェアを誇るまでに成長を遂げたのである。
 
 
そして、セブンイレブンが新しい地域に出店する際に用いられたのが、まさしくランチェスター戦略なのだ。

彼らは、常に「一点突破」作戦を利用した。

店舗を増やすにあたって攻める地域を絞り込み、集中的に出店することで急速な認知度アップを画策。

しかも、最初にターゲットとなる地域の周辺地域を取り囲むように出店するため、中心部に進出するころには、その地域の顧客が出店を「熱望」している状態になるのだ。
 
 
 

ローソン一強の牙城を崩した、大阪での集中出店

分かりやすい例がある。

1996年にセブンイレブンが大阪進出を開始したとき、大阪のコンビニエンスストア業界では、すでにローソンが店舗数、利用者数ともにトップの地位を築いていた。

そんな状況の地域への進出にセブンイレブンが取った戦略が、地域内に連続で密度の高い出店を続けるというものだった。

街中で急に目にすることが多くなったセブンイレブンには顧客の関心が集まり、その密度の高さによって目新しさより親近感が上回るまでそう時間はかからない。

大阪の場合、出店数が300店舗に達したあたりから、急激に集客力が伸びたと言う。
 
 
結果的に、セブンイレブンは関西地域でもナンバーワンのシェア率を誇るようになった。

セブンイレブンには、商品開発力やデリバリー体制などの強みもある。

しかし現在の姿があるのは、それらの強みを活かした徹底的な地域戦略が功を奏したからであるのだ。

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