この記事の芯 — マーケのAI化でも大事なのは2つ。コンテキスト(その人の“今の状況”を読む=的外れな売り込みを防ぐ)とガバナンス(顧客データを外に出さない+最後は人が承認)。
1:1の最適化を、安全に両立させる話です。
これまでのマーケティングは「対象を決め→キャンペーンを作り→一斉に配信して終わり」が基本でした(ウォーターフォール型=上流から下流へ一方向に流す進め方)。でも今は、人もAIも複数の窓口を行き来し、買う判断は数秒で起きる時代。“作って配って終わり”の一回限りでは、一人ひとりには届きません。Databricksは、これを根本から変える Agentic CDP「Customer Lake」(CDP=顧客データを1か所に集めて活用する基盤。Agentic=AIエージェントが自動で回す)と、終わらないキャンペーン 「Infinity Campaign」 を発表しました。
なぜ「一斉配信」では届かないのか
買い方そのものが変わったからです。
- AIと人が一緒に買う(エージェントが調べて提案する)
- 購入の判断が数秒で起きる
- 窓口(チャネル)が増え続ける
こういう相手に、数週間かけて作る“一回限りのキャンペーン”では追いつけません。ここで効くのがコンテキスト=その人の「今」の状況。最新の行動シグナル(直前に何を見た・買ったか)を読めないと、すでに買った商品をまた勧めるような“的外れ”になってしまいます。
Infinity Campaign:終わらない“常時接客”
Infinity Campaign は、始まりも終わりもない「エバーグリーン(常時稼働)」なキャンペーン。AIエージェントが各顧客の最新シグナルを読み、次の最適な一手を自動で決めて実行します。LLMがその場で1:1パーソナライズするので、事前に作り込んだMLモデルすら不要。人は戦略・全体の指揮・最終承認に専念します。
Customer Lake:データを“外に出さない”CDP
Customer Lake は、Databricks上で動くAgentic CDP。CDPとはCustomer Data Platform(カスタマー・データ・プラットフォーム)=「顧客データを1か所に集めて、マーケに使える形に整える基盤」のこと。
最大の特徴は、データをレイクハウス(自社のデータ置き場)から外に出さずに処理すること——ここがガバナンス(統制)の肝です。目標は「1日1億件のパーソナライズ体験」。中身は2つのAIでできています。
- Profile Agent(顧客を知るAI):バラバラのデータをCustomer 360(顧客の全体像)に自動でまとめる。別々のデータが同一人物かを見分ける名寄せ(Identity Resolution)は、難しいケースだけLLMが補い、最後は人の確認に回せる。第三者データとの突き合わせもClean Rooms(互いに中身を見せ合わずに照合できる“安全な部屋”)で、データを外に出さずに実施。
- Campaign Agent(届けるAI):自然な言葉で「こういう人に」と指示すると、オーディエンス作成からキャンペーン設計まで自動。ガードレール(逸脱防止)・シミュレーション・効果測定も標準。仕上げた施策はReverse ETL(整えたデータを広告・CXツールへ戻す連携)でワンクリック配信できる。
デモ:AIの“判断”まで見える
「世界初のGenTech CDP」として実演。Genieに話しかけて「今シーズン500万円以上買ったファン」のようなオーディエンスを言葉で作成。Campaign Agentは顧客ごとに送る・送らないを判断し、たとえば顧客「Marcus」へはあえて配信を見送った理由(評価・タイミング・頻度の上限など)まで開示します。“なぜそうしたか”が見えるから、人は安心して任せられ、必要なら止められる。Customer Lakeは本日よりプレビュー提供開始。
持ち帰り:データ活用の現場視点
マーケは「セグメントで束ねて一斉に」から「一人ひとりに、今、最適を」へ。鍵は2つ——その人の文脈(コンテキスト)を読むことと、顧客データを外に出さず、最後は人が承認すること(ガバナンス)。この両立ができるかどうかが、これからのCDP選びの分かれ目になります。

